
「最近親の食事が心配…」

「遠くに住んでいるから様子がわからない…」
そんな悩みを抱えている方は少なくありません。
また、毎日の食事準備が高齢の親にとって大きな負担になっていないでしょうか?
高齢者向け配食サービスは、そんな悩みを解決する強い味方です。
ですが、配食サービスには自治体と連携して提供されているものと民間企業が運営するものがあり、それぞれ特徴が大きく異なります。

「どちらが親に合っている?」
「費用はどのくらいかかるの?」
「申し込み方法は?」
など、疑問は尽きないはずです。
私はこれまで、管理栄養士として多くの高齢者の方々の在宅生活を支援してきました。
この記事では、
高齢者向け配食サービスの選び方の中でも、特に、自治体の配食サービスと民間の宅配食の違いを中心に徹底解説します。

ご家族の状況に合った最適なサービスの選び方をご紹介します!
高齢の親の「食事問題」にこんな心配はありませんか?

「食事」は、高齢になるにつれて、栄養摂取の問題だけでなく健康管理や見守りなどの「安全の確保」という点でも、とても大切な意味をもつようになります。
以下で具体的に説明していきますね。

いくつあてはまりますか?
一人暮らしの親の食事が心配…栄養は足りている?
高齢者、特に一人暮らしのかたは、食事の準備が負担になり、「作るのが面倒」「同じものばかり食べている」という状況に陥りがちです。
栄養バランスの偏りは健康状態、ひいては、生死に関わるほど大切なことです。

高齢者は、若い人よりもより適切な食事管理が必要です。
遠距離なので、食事管理と安否確認も同時にしたい

高齢の親と離れて暮らしていると、「今日ちゃんと食事をとったかな?」「体調は崩していないかな?」というような心配が尽きませんよね。
配食サービスによる定期的な食事の配達は、基本的には配達員による直接手渡しで配達してもらえるので、安否確認の手段としても心強いです!
高齢になって、買い物や調理・片付けの負担が増えてきた

加齢とともに、買い物に行くこと自体が困難になったり、調理や後片付けの家事負担が増したりします。

これらの負担を軽減し、いつでも栄養バランスの取れた食事をとれるような環境づくりが大切です。
「高齢者向け配食サービス(宅配食)」とは?

高齢者向け配食サービス(宅配食)は、このような高齢の親の食事に関する様々な問題を解決するための大きな味方になってくれます。

栄養バランスの取れた食事を定期的に届けるだけでなく、安否確認もおこなってくれるサービスが多いです。
そのため、高齢者向けの配食サービス(宅配食)を利用することで、子供や孫の立場ならではの親の食事の心配ごとの解消できます。

遠距離での介護や、在宅での介護においても、第三者の力を借りながら介護ができるのはとっても安心ですよね。
高齢者向け配食サービスは大きく分けて2種類【自治体と民間】

高齢者向けの食事宅配サービスには、大きく分けて「自治体が関わるもの」と「民間企業が提供するもの」の2種類があります。

それぞれの特徴を理解して、大切な親・ご家族の状況に合った最適なサービスを選んでいきましょう。
① 自治体連携の高齢者向けの配食サービスとは?
■対象者
主に、一人暮らし高齢者や高齢者のみの世帯(※自治体ごとに条件あり)
■受けられるサービス
食事の宅配サービス、見守り
■費用
市区町村の補助を受けられるため、比較的安い。300円~500円ほどが多い。
■運営母体
社会福祉協議会、地域の配食業者、地域の高齢者施設など
自治体連携の配食サービスは、地域の高齢者福祉サービスの一環として提供されています。
主に、一人暮らし高齢者や高齢者のみの世帯を対象に、「食」を通じた健康維持と安否確認を目的としています。
② 民間企業の配食サービス(高齢者向け宅配弁当)とは?
■対象者
希望者ならだれでも利用可能
■受けられるサービス
食事の宅配サービス、見守り
■費用
主に500~700円ほどで、おかずのみ・プレミアムお弁当などを含めると300円~1200円ほど。
■運営母体
民間企業、地域の配食業者など
民間の配食サービスは、様々な企業が独自のサービスとして提供する宅配食・宅配弁当です。
基本的には、利用条件などの制約がないので、多様なニーズに応えられるメニューやサービスが多いのが特徴です。
全国展開している大手企業から地域密着型の小規模事業者まで幅広く、冷凍・冷蔵・温かい状態での配達など、配送方法も多様です。
介護食や制限食など、専門的な食事にも対応しているサービスが多いのも特徴です。

柔軟な対応をしてくれるおかげで、「お弁当を買う」という感覚で、気軽に利用しやすいですね。
【徹底比較】自治体と民間|高齢者向け配食サービスの7つの違い

自治体事業の配食サービスと民間企業の配食サービス…
どちらの配食サービスがご家族に適しているか判断するために、7つの重要なポイントで比較してみました。

管理栄養士の視点での比較ポイント・気になるポイントも挙げています!
違い①|誰でも申し込める?要介護度は関係ある?
自治体サービス
- 対象条件あり(年齢制限、一人暮らしまたは高齢者のみの世帯、要支援・要介護認定など)
- 地域によっては、ケアマネジャーの推薦や介護認定が必要な場合も
- 基本的には「食事準備が困難な状況」であることが条件
民間サービス
- 基本的に誰でも利用可能(年齢制限なし)
- 要介護度や世帯構成に関わらず申し込み可能
- 本人だけでなく、家族が申し込むことも簡単
「利用するための条件などのハードル」は、圧倒的に民間サービスの方が低いですね。
また、自治体のサービスは一人暮らしや高齢者のみの世帯であることが条件になりやすいので、高齢者に当てはまらない同居者がいる場合は利用できない…ということです。
違い②|月額いくら?公的な助成は?

自治体サービス
- 地域によって異なるが、1食あたり300円〜600円ほどが一般的
- 多くの場合、自治体からの助成があり実費負担が軽減
- 低所得者向けの減免制度がある場合も
民間サービス
- 1食あたり500円〜1,500円ほど(サービス内容により幅あり、中央値は600円~700円くらい)
- 定期コースの割引や送料無料サービスなど独自の料金体系
- 介護保険制度との兼ね合いで、一部費用が支援される場合もある
「食事の費用・料金」としては、圧倒的に自治体サービスの方が利用しやすい価格帯ですよね。
自治体のサービスの「低所得者向けの減免制度がある」という点でも、生活環境に合わせて負担が大きくなりすぎない価格で利用できるので安心ですね。

民間サービスでも、定期コースの利用で割引や送料無料などのサービスがあるのは心強いです!
違い③|献立や栄養バランスは?制限食対応は?

自治体サービス
- 基本的な栄養バランスに配慮したメニュー
- 選択肢は少なく、日替わりの1種類のみの場合が多い
- 一般的な減塩食程度の対応はあるが、専門的な制限食対応は限定的
民間サービス
- 多様なメニューから選択可能なサービスが多い
- カロリー制限食、塩分制限食、たんぱく質制限食など制限食にも専門的な対応が多い
- きざみ食、ムース食などの介護食も幅広く提供
- 冷凍保存技術により、バラエティ豊かな献立を実現
自治体サービスは、「決められている食事を届ける」というイメージですね。
その点、民間企業の配食サービスは、「たくさんの選択肢の中から、高齢者に合った食事を選べる」というのは、「食べる楽しみ」を存分に感じられそうでワクワクしますね。
違い④|見守り・安否確認の体制は?一人暮らしの親に安心?
自治体サービス
- 基本的には配達時の声掛けや安否確認あり
- 不在時や異変時の自治体・家族への連絡体制が整備
- 地域のネットワークと連携した見守りが機能している
民間サービス
- サービスによって安否確認の有無や程度が異なる
- 手厚い見守りサービス(玄関先での手渡し、声掛け)から、置き配まで様々
- 一部のサービスでは、配達状況や喫食状況を家族にメール通知するシステムも
- 追加料金で見守りオプションがつけられるサービスも
安否確認のレベルや追加オプションなどの料金発生の違いはありますが、自治体サービスも民間サービスも、どちらでも一定レベル以上の「見守り」はおこなってくれそうです。
ただ、民間サービスでは、ケアマネージャーとの連携などの地域包括支援という意味合いでの「見守り・安否確認」はなかなか期待できないと思います。

より「高度な見守り・安否確認」を希望する場合は、自治体サービスを積極的に利用した方が良さそうです。
違い⑤|申し込みやすさは?役所?ネット?

自治体サービス
- 自治体の窓口や地域包括支援センターでの申請が基本
- 申請書類の提出や審査がある
- 利用開始までに時間がかかる場合がある
民間サービス
- 電話やインターネットから24時間申し込み可能
- 資料請求からお試しセットまで手軽に利用開始できる
- 最短翌日から利用開始できるサービスも
「申し込みやすさ・手続き」については、圧倒的に、民間企業のサービスとしての強みが出ていますね!

「お試し」から利用できるのは、本当にありがたいですね。
違い⑥:配送方法・受け取りは?手渡し?置き配?冷凍?
自治体サービス
- ほとんどの場合、決まった時間帯に温かい状態で配達
- 基本的には手渡しが原則(安否確認のため)
- 配達日や時間の変更が難しい場合が多い
民間サービス
- 温かい状態での配達、冷蔵、冷凍など、会社ごとの特徴してえらべる
- 置き配対応のサービスも(在宅が難しい場合に便利)
- 配達頻度や時間帯の選択が可能
- 不在時の対応オプションあり(ボックス設置など)
「配送方法・受け取りの柔軟性」は、自治体サービスも民間サービスも、それぞれ良い点があります。
例えば、「安否確認も兼ねて、必ず手渡し配達してほしい」という場合は、温かい状態で高頻度で配達されるサービスを選ぶのが良いです。

利用される高齢の親御さんの生活状況や認知機能の状態によって、より活用しやすい特徴で選んでください。
違い⑦|お試し利用はできる?相談窓口は?

自治体サービス
- 自治体の担当部署やケアマネジャーなどが相談窓口に
- お試し利用制度は基本的に少ない
- 地域によっては、配食以外の生活支援サービスと連携
民間サービス
- 専門のカスタマーサポート体制を整備
- お試しセットや初回割引などの導入制度が充実
- 栄養士への相談サービスなど専門的なサポートも
- 複数の会社を比較検討できる資料請求サービスも充実
総合的に言うなら、
自治体サービス:すでに様々な点で生活の支援が必要な状態の高齢の親御さん
民間サービス:自立度が高い生活をされている高齢の親御さん
というような選び方をおすすめします。

民間サービスの場合、「資料などを見ながら一緒に選ぶ」という楽しみもありますね。
高齢の親に最適なのは?状況別・配食サービスの選び方

ここからは、宅配食を利用しようか検討中の高齢者の状況に合わせた、配食・宅配食サービスの選び方のポイントを解説します。

親御さんの状況や優先したい項目によって、最適なサービスは変わってきますよ。
①費用を抑えたい、公的支援の対象なら…
自治体サービスを中心に検討
経済的な負担を軽減したい場合は、まず自治体のサービスを検討してみてください。
特に、以下のような状況であれば、自治体サービスを利用できる可能性が高いです。
- 65歳以上の一人暮らし、または高齢者のみの世帯
- 要支援・要介護認定を受けている
- 調理が困難な状況にある
②すぐに始めたい、手軽さを重視するなら…

民間サービスで「お試し」利用からはじめてみる
「今すぐ始めたい」「手続きの手間を省きたい」「高齢の親の代わりに子供・孫が手続きをしたい」という場合は、民間サービスがおすすめです。

Webだと24時間受付可能なので、家族が代わりに申し込みができるのは良い点ですよね。
ほとんどの民間サービスでは、以下のような、手軽に始められるサービスのいずれかを準備してくれています。

まずは1週間程度のお試し期間を設けて、親御さんの反応や食事の内容を確認してみるのがおすすめです!
③食事制限(減塩)や介護食が必要なら…
対応可能な民間サービスを比較
持病などによって食事制限が必要な場合や、噛む力・飲み込む力が弱くなっている場合は、専門的な対応が可能な民間サービスを選ぶのがおすすめです。
- 糖尿病食(カロリー制限、糖質制限)
- 腎臓病食(たんぱく質制限、塩分制限)
- 塩分制限食・心臓病食(塩分制限)
- 嚥下困難対応(きざみ食、ムース食)
- 噛む力に配慮した食事(やわらか食)

専門的な食事形態でのサービスを選ぶ際は、管理栄養士が監修しているかどうかもチェックしてください!
④安否確認や手厚い見守りが必要なら…

自治体サービスを優先的に検討しつつも、民間サービスの安否確認オプションと比較する
一人暮らしの親御さんの見守りを重視する場合は、配達員による直接の手渡しと声掛けが行われるサービスを選びましょう。
自治体サービスの場合
- 基本的に手渡し・声掛けによる安否確認が行われる
- 不在時の連絡体制も整備されている
民間サービスの場合
- 見守り重視型のサービスを選ぶ
- 配達状況の家族への通知システムがあるか確認
- 不在時や異変時の連絡体制を確認
⑤味の好みやバリエーションを優先したいなら…

メニューや食事の選択肢が豊富な民間サービスを比較

食事は生活の楽しみの一つです。
特に食へのこだわりが強い高齢の親御さんには、メニューの豊富さや選択肢の多さを重視したサービス選びが大切です。
- 日替わりメニューの種類(複数のコースから選べるか)
- 「肉」「魚」などの好みに合わせた献立の調整が可能か
- 冷凍ストックで食べたい時に選べるシステムがあるか
- 行事食や季節メニューの充実度

高齢者でも管理しやすい冷凍タイプのサービスであれば、複数の献立をストックしておくことで、その日の気分で選べます!
【重要】まずはお住まいの地域の情報収集から
配食サービス自体、地域性が強い食事サービスです。
そのため、まずは高齢の親が住んでいる地域でどのようなサービスが利用可能かを調べることから始めましょう。
自治体サービスの調べ方
- 市区町村の公式ウェブサイトで「高齢者 配食サービス」「高齢者 給食サービス」などで検索
- 地域包括支援センターに相談
- 市区町村の高齢福祉課に問い合わせ
民間サービスの調べ方
- インターネットで「[お住まいの地域名] 高齢者 宅配食」「[地域名] 配食サービス」などで検索
- 複数の会社の資料を請求して比較
- 口コミや評判もチェック
配食サービスの利用を始めるには?具体的な流れ

実際に配食サービスの利用を始める際の手順を、自治体サービスと民間サービスに分けてご紹介します。
宅配食・配食サービスの介護保険の利用可否については、以下の記事をご覧ください
自治体サービス(申請窓口・必要書類)
- 情報収集: 市区町村のウェブサイトや窓口で、サービス内容や条件を確認
- 相談: 地域包括支援センターやケアマネジャーに相談(要介護認定を受けている場合)
- 申請: 必要書類を揃えて窓口に提出
- 申請書(自治体指定の様式)
- 身分証明書
- 介護保険証(要介護認定を受けている場合)
- 収入状況の証明(減免制度を利用する場合)
- 審査: 自治体による審査(訪問調査が行われる場合も)
- 決定通知: 利用可否の通知
- 利用開始: 決定後、サービス提供事業者との調整
民間サービス(資料請求・無料試食・申し込み方法)
- 情報収集: インターネットや電話で各社のサービス内容を調査
- 資料請求: 気になるサービスの資料を取り寄せる(複数社の比較がおすすめ)
- お試し利用: 初回お試しセットや無料試食サービスを利用
- 申し込み: 電話またはWebから申し込み
- 基本情報(住所、氏名、連絡先など)
- 食事の種類や配達頻度の選択
- 支払い方法の設定
- 契約: 利用規約の確認と同意
- 利用開始: 最短で申し込み翌日から開始できるサービスも

民間の宅配食・宅配弁当であれば、1食単位で注文できるので安心ですね!
まとめ|親御さんの「食」と「安心」のために、最適な配食サービスを

高齢者向け配食サービスは、親御さんの健康的な食生活をサポートするだけでなく、ご家族の安心にもつながる、便利で不可欠なサービスです。
自治体と民間、それぞれの特徴を理解して賢く選ぶ
自治体サービスは費用面で手軽さと基本的な見守り対応、民間サービスは利用・管理面での手軽さとメニューの豊富さが特徴です。

それぞれの長所・短所を理解した上で、親御さんの状況に合ったサービスを選びましょう。
状況によっては、「自治体サービスと民間サービスを併用する」という選択肢もあります。

例えば、平日は自治体サービス、休日は民間の冷凍食品を活用する、といった組み合わせもおすすめです。
親御さんの状況やニーズに合ったサービスがきっと見つかる

配食サービスは年々進化しており、多様なニーズに応える様々なサービスが展開されています。
親御さんの状況や好み、予算に合わせて、最適なサービスを選ぶことが可能です。

まずは試してみることが大切ですね。
多くのサービスでは初回限定のお試しセットや割引制度を用意しているので、実際に食べてみましょう。

味の好みの確認のためにも、試し食べの際には、ご家族だけでなく高齢者ご本人も食べるようにしてくださいね。
まずは気になるサービスを比較検討してみませんか?

「何から始めればいいかわからない…」
という方は、
- まず自治体の窓口に問い合わせてみること
- 民間サービスの資料を請求してみること
をおすすめします。
利用できるサービスの詳細を手に取って比較することで、より鮮明に想像できるようになるはずです。

高齢の親御さんの「食」をサポートすることは、健康維持だけでなく、生活の質の向上にもつながりますよ。
ぜひ参考にしていただき、
配食サービスの利用開始時期の検討や、親御さんと子供・孫の立場であるあなたが安心できる配食サービス選びにお役立てください。

適切な配食サービスの活用で、親御さんの自立した生活を支え、ご家族も安心感を得られるようになると嬉しいです!
コメント