あなたは、遠くに住む親や祖父母の「食事事情(親のごはん)」が気になっていませんか?
歳をとると、買い物を出かけるのも、長時間台所に立つのもつらくなってきます。

高齢のお父さん・お母さん、ちゃんと食事をたべているかな…

お母さんももう高齢になって、毎日のご飯作り、大変そうだな…
最近は、「ミールキット」のような自宅に食材が届くサービスも増えてきましたが、それでも、調理の負担を減らすことはなかなか難しいですよね。
そんな心配から、自宅に弁当形式で食事を届けてくれる便利な宅配食(配食サービス)を勧めてみたけれど、「いらない!」「自分でできる!」と嫌がられた…そんな経験はありませんか?
良かれと思って勧めても、なぜか、頑なに拒否されてしまう。
その背景には、高齢者ならではの複雑な心理が隠れているのかもしれません。
今回は、子供から宅配食の利用をすすめられた高齢の親が、宅配食を嫌がる・頑なに断る主な理由と、その理由に応じた説得のヒント、具体的なアプローチ方法について紹介します。
自分の子供や孫から「宅配食」の利用をすすめられた「高齢者」が
- 宅配食を嫌がる主な理由
- 宅配食を嫌がる理由別の「対策・説得の方法」
- 高齢者に宅配食をすすめる上で大切な心がまえ

あなたとあなたのご家族に合った、最適な選択がみつかると幸いです。
なぜ? 高齢の親が宅配食を嫌がる主な理由

親が宅配食を嫌がるのには、いくつかの理由が考えられます。
頭ごなしに「便利だから」と押し付けるのではなく、まずは親の気持ちに寄り添ってみましょう。
主に考えられる親が宅配食を嫌がる理由は、以下の通りです。
親からの子に対する家族内プライドと自立心
長年続けてきた料理は、「自分はまだ元気で自立している」という証です。
宅配食を利用することは、まるで「もう自分ではできない」と認めるようなものです。
これは、これまでのあなたやご家族との関係性のなかで培ってきたプライドや自尊心が傷ついたり、衰えを認めたくない気持ちが抵抗感につながります。
また、毎日の食事作りが、「生活の張りや活力・元気でいる意義」になっている方もいらっしゃいます。

私の祖母は、完全にこのタイプでした。
「家族に食事を振舞える自分」という点での自尊心です。
食事習慣に対する干渉への反発
たとえ体調や生活を心配しての提案であっても、子供から生活習慣について指摘・意見されると、「子供扱いされている」「干渉されている」と感じて反発心を抱くことがあります。
「自分の食事くらい、自分で決めたい」という思いがあるのかもしれません。
宅配食の味や費用などの具体的な不安

味やメニューへの不安
「宅配食って味が濃そう/薄そう」「冷たいご飯は嫌」「メニューがいつも同じで飽きそう」など、味や品質、メニュー内容への先入観や不安感があります。

特に、長年慣れ親しんだ自分の味付けがある場合は、抵抗を感じやすいかもしれません。
費用への懸念
「もったいない」「贅沢だ」と感じることも。
たとえ子供・孫の立場のあなたが費用を負担すると言っても、「家族に心配と迷惑をかけて申し訳ない…」と遠慮してしまうこともあります。
宅配食の利用で生活が変わることへの抵抗
高齢になると、新しいことや生活リズムの変化を億劫に感じたり、不安に思ったりすることが増えます。
「決まった時間に受け取るのが面倒」「知らない人が家に来るのが不安」といった気持ちや、日課である買いものや料理の時間がなくなることへの寂しさも理由の一つです。
宅配食の利用の必要性を感じていない
親自身は、今の食事の準備にそれほど不便を感じておらず、「まだ自分で十分できる」「宅配食なんて必要ない」と思っているケースです。
周りから見ると心配でも、本人の自覚がないため、提案が響きにくいことがあります。
【理由別アプローチ】心配な時の説得のヒント

親が宅配食を嫌がる理由が見えてきたら、その気持ちに寄り添いながら、次のようなアプローチを試してみてはいかがでしょうか?

一人で抱え込まずに、誰かに相談してみるのもおすすめです。
思わぬ解決策が見つかるかもしれません。
「親としてのプライド・自立心」が宅配食を嫌がる理由の場合
言葉を変える
「手抜き」ではなく「時間を有効活用」「健康管理」というポジティブな言葉で伝える。
「料理の手間が省けた分、趣味の時間に充てられるね」「栄養バランスが考えられているから安心だよ」
選択権を渡す
「お母さん(お父さん)が決めていいんだよ」「試しに週1回だけどうかな?」と、決定権は親にあることを強調し、選択肢を与える。
「サポート」であることを伝える
「全部任せるんじゃなくて、しんどい時だけ頼るのもいいと思うよ」と、あくまで補助的な役割であることを説明する。
「子から親への干渉への反発」が宅配食を嫌がる理由の場合

「私のため」を伝える
「お母さん(お父さん)の食事が心配だから、利用してくれると私が安心できるんだ」と、子供自身の心配な気持ちを素直に伝える。
相談ベースで話す
「こういうのあるんだけど、どう思う?」「もしよかったら、一緒にパンフレット見てみない?」と、意見を求める形で提案する。

人は、一方的に押し付けられる意見には「反発」してしまいがちです、「提案」や「相談」には「共感」の気持ちを抱きやすいです。
「宅配食の味・費用への不安」が嫌がる理由の場合
情報収集と「お試しセットの利用」から始めてみる
一緒にパンフレットを見たり、ネットで口コミを調べたりする。
「お試しセット」を利用して、実際に味を確かめてもらう。
「色々なメニューがあって美味しそうだね!」とポジティブな感想を伝える。
費用対効果を説明
食材費、光熱費、買い物の手間などを考慮すると、一概に「高い」とは言えないことを説明する。
プレゼントとして提案するのも良い方法です。
「食事習慣の変化への抵抗」が宅配食を嫌がる理由の場合
スモールステップで
まずは週1回、特定の曜日だけなど、小さな変化から提案する。
メリットを具体的に
「雨の日や暑い日に買い物行かなくていいから楽だよ」「管理栄養士さんが考えたご飯だから健康的だよ」など、具体的なメリットを伝える。
不安を取り除く
配達方法(置き配など)や配達員の情報を事前に伝え、不安を取り除く。初回は一緒に受け取るのも安心です。
そもそも「宅配食や食事の重要性・必要性を感じていない」場合

客観的な事実を優しく伝える
「最近少し疲れやすそうに見えるけど、食事の準備大変じゃない?」「先生も栄養バランスが大事だって言ってたよ」など、心配していることを具体的に、かつ優しく伝える。(ただし、プライドを傷つけないよう慎重に!)
「予防」の視点で
「これからもずっと元気に過ごすために、食事は大事だよ」「今のうちから上手に利用して、体力を温存しよう」と、未来の健康につなげる。
第三者の意見を借りる、協力してもらう
かかりつけ医やケアマネージャーなど、親が信頼している人から話してもらう。

必ず子・孫であるあなたが説得しなければならない必要はありません。
意外にも、家族以外の言葉の方が宅配食の利用開始につながりやすいこともあります。
親に宅配食利用の説得を試みる上での大切な心構え

高齢の親に宅配食を勧める上で、最も重要なのは、親の気持ちに寄り添い、主体性を尊重し、焦らずに進めることです。
ここでは、親御さんが心を開き、より良い選択ができる関係性を守るための大切な考え方を解説します。

宅配食の利用を一方的に押し付けないようにしましょう。
焦らない、根気強く。まずは聞く。
まず、親御さんの言い分や、宅配食を嫌がる理由をしっかりと聞いてあげてください。
「そう感じるんだね」「そうだったんだね」などと、共感する姿勢を示すことが大切です。
頭ごなしに否定するのではなく、親御さんの気持ちを受け止めることで、より円滑なコミュニケーションにつながります。
宅配食の利用の決定権は親にあることを忘れない
宅配食の利用を決めるのは、あくまで親御さん自身であることを忘れてはいけません。
無理強いは反発を招くだけでなく、関係性を悪化させる可能性もあります。
「こういう選択肢もあるみたいだよ。」と情報を提供するだけでも、親御さんの生活の安寧を願う上では、とても意味のあることです。
宅配食以外の他の選択肢も柔軟に考える
もし宅配食がどうしても難しいようであれば、他の方法も検討してみましょう。
例えば、調理済みの食材が届くミールキットや、家事代行サービスの利用、スーパーなどで購入できるお惣菜の活用、あるいは家族が作り置きをするなどの方法もあります。
相談や状況によっては、普段通い慣れているスーパーや商店などで、定期的にお弁当を準備してくれるような対応も可能かもしれません。
大切なのは、親御さんの状況や希望に合わせて、無理のない方法を見つけることです。
まとめ

高齢の親の食事は、子や孫の立場である人にとっては、とても大きな心配事です。
親の立場からしても、心配されているとわかっていても、素直に甘える気持ちや、弱ってきた姿を見せる覚悟を持てずにいる方も少なくありません。
ですが、便利な宅配食も、親の気持ちを無視して一方的に契約してしまおうとしても、なかなか受け入れてもらえません。
なぜ、宅配食の利用を嫌がるのか。
その理由に冷静に耳を傾け、親のプライド・自尊心、気持ちを尊重しながら、根気強く、様々な角度からアプローチしていくことが大切です。
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